空色幻想曲
◇ ◇ ◇
流石に王宮の施設だけあって広さもさることながら設備も立派だった。
灰色の壁ぎわに整頓された、古今東西の武器。全て練習用の模造品ではあるが、造りは名のある刀匠が手掛けた業物と変わりない。
中央の広間では数十人の騎士が鍛練に汗を流している。むせ返るような、だが心たぎるような、熱い闘志をまとった男たち。
自分も早くその中に混ざろうとしたとき、背後に絡みつく視線に気づいた。
反射的に振り返ると、ゆっくり近づいてくる三人の騎士。皆、俺と同じ深緑の制服に青いハーフマントという出で立ちだ。
「よぉ。初めて見る顔だなぁ、あんた!」
三人のうち第一声を勢いよく発したのは、赤い短髪の男。
「もしかして、お前が私たちの新しい隊長かい?」
次に、肩まで伸びた金茶の髪の男が、静かに問いかけてきた。
俺は無言でうなずく。
「お前、平民らしいな」
「誉れ高い空姫親衛隊の隊長が平民上がりとは、オレたち全員舐められたもんだぜ!」
向けられた眼差しには炎のような揺らめき。まだ小さいが、一つ間違えば大火事を起こしそうな熱量を秘めていた。
「おい、ベン、アルス。よさないか」
約一名はまともらしい。そばにいた三人目──白銀の髪の男が、火消し役に回った。
だが、一度点いた火種はすぐに消えなかった。
流石に王宮の施設だけあって広さもさることながら設備も立派だった。
灰色の壁ぎわに整頓された、古今東西の武器。全て練習用の模造品ではあるが、造りは名のある刀匠が手掛けた業物と変わりない。
中央の広間では数十人の騎士が鍛練に汗を流している。むせ返るような、だが心たぎるような、熱い闘志をまとった男たち。
自分も早くその中に混ざろうとしたとき、背後に絡みつく視線に気づいた。
反射的に振り返ると、ゆっくり近づいてくる三人の騎士。皆、俺と同じ深緑の制服に青いハーフマントという出で立ちだ。
「よぉ。初めて見る顔だなぁ、あんた!」
三人のうち第一声を勢いよく発したのは、赤い短髪の男。
「もしかして、お前が私たちの新しい隊長かい?」
次に、肩まで伸びた金茶の髪の男が、静かに問いかけてきた。
俺は無言でうなずく。
「お前、平民らしいな」
「誉れ高い空姫親衛隊の隊長が平民上がりとは、オレたち全員舐められたもんだぜ!」
向けられた眼差しには炎のような揺らめき。まだ小さいが、一つ間違えば大火事を起こしそうな熱量を秘めていた。
「おい、ベン、アルス。よさないか」
約一名はまともらしい。そばにいた三人目──白銀の髪の男が、火消し役に回った。
だが、一度点いた火種はすぐに消えなかった。