空色幻想曲
     ◇ ◇ ◇

「ぷっ、あはは! ありがと、フェン」

「アッハッハッ! こりゃあ、後でダリウスのじいさんに大目玉だな」

 やわらかな陽光射しこむ王宮の中庭で、顔を見あわせ、はじけ飛ぶように笑った。

 ここは城の敷地(しきち)内でも、あまり人が来なくてゆっくりできる場所だ。もっぱらフェンネルと悪だくみをするときはここに来る。

「そうね~。でも、今さらやめるなんて言わないでよ?」

「まさか! 可愛い(めい)っ子の頼みだからな」

「そうこなくっちゃ!」

 私のことを『可愛い姪っ子』と呼ぶ彼は、外見からするととても『伯父(おじ)』には見えない。

 上下まっ青な服に銀の肩あてと緋色のマントを羽織った軽装だけど、その体つきは服の上からでも鍛えぬかれていることがわかる。隆々とした20代の青年といった感じ。

 でも正真正銘(しょうしんしょうめい)、35歳。

 なので、まあ伯父と姪と言っておかしくない年の差はあるのだけれど。


 ……血がつながっているわけじゃない。
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