空色幻想曲
(……童顔のわりに胸はあるんだな)
胸元が強調されたドレスのせいか、あどけなさの残る顔立ちとのアンバランスさのせいか、自然と視線がそちらに向いた。アンバランスと言えども、悪い意味ではないが。
「どうしたの? ぼーっとして」
いつの間に歌い終わったのだろう。こちらに気がついて声を掛けてきた。
きょとんとした無邪気な視線を向けられ、なぜか先程までの自分の視線が邪なものに感じられて、それを悟られまいと意地悪く答える。
「あ、いや。『女装』だから一瞬誰だか──」
──バキ!!
皆まで言い終わる前に制裁が加えられた。
素直に受けたらまさかグーで殴ってくるとは……うっかり見かけに騙された。中身はジャジャ馬姫のままだ。
「失礼ね! あなた、ふつう騎士が王女にそういうこと言う!?」
「普通、王女が騎士に斬りかかるか?」
「う……。だますようなことして悪かったと思ってるわ……」
「どうだか。俺が初めてじゃないんだろう」
「な、なんで知って……!?」
「フェンネルに聞いた」
「もうっ、フェンったら~。男のクセにおしゃべりなんだから!」
小さな子供のようにぷうっと頬をふくらませる。そのあどけない様子が何か腑に落ちない。
脳裏を掠めたのは……
黄昏時の涙と、宴の間で目にした一瞬の憂い。
疑問をそのまま口にしてみる。
「元気そうだな」
「別に、ふつうだけど?」
あっけらかんとした素振り。
なんとなくわかってはいたが、このジャジャ馬に正攻法は効かない。
ならば──……!
胸元が強調されたドレスのせいか、あどけなさの残る顔立ちとのアンバランスさのせいか、自然と視線がそちらに向いた。アンバランスと言えども、悪い意味ではないが。
「どうしたの? ぼーっとして」
いつの間に歌い終わったのだろう。こちらに気がついて声を掛けてきた。
きょとんとした無邪気な視線を向けられ、なぜか先程までの自分の視線が邪なものに感じられて、それを悟られまいと意地悪く答える。
「あ、いや。『女装』だから一瞬誰だか──」
──バキ!!
皆まで言い終わる前に制裁が加えられた。
素直に受けたらまさかグーで殴ってくるとは……うっかり見かけに騙された。中身はジャジャ馬姫のままだ。
「失礼ね! あなた、ふつう騎士が王女にそういうこと言う!?」
「普通、王女が騎士に斬りかかるか?」
「う……。だますようなことして悪かったと思ってるわ……」
「どうだか。俺が初めてじゃないんだろう」
「な、なんで知って……!?」
「フェンネルに聞いた」
「もうっ、フェンったら~。男のクセにおしゃべりなんだから!」
小さな子供のようにぷうっと頬をふくらませる。そのあどけない様子が何か腑に落ちない。
脳裏を掠めたのは……
黄昏時の涙と、宴の間で目にした一瞬の憂い。
疑問をそのまま口にしてみる。
「元気そうだな」
「別に、ふつうだけど?」
あっけらかんとした素振り。
なんとなくわかってはいたが、このジャジャ馬に正攻法は効かない。
ならば──……!