空色幻想曲


 “英雄(えいゆう)再来(さいらい)” とウワサしている。


 つまり、だ。

「強いんでしょ? かなり」

「まあな。入団試験で立ち合ったが、実力は他より頭一つどころか二つ三つ飛び抜けてたぜ」

「ああ~早く会ってみたいっ!」

 騎士の叙任式が行われるのは夜。本来ならその式典が、王女と騎士の初対面の場となる。

 が、

「会うんだろ。すぐに」

「うん! 私を護ってくれるんだから早めにあいさつしなきゃね!」

 フェンネルのふくみ笑いに力いっぱいうなずく。


 あおぎ見れば、透きとおるような青い空に一陣の風が吹きぬけた。

 運命の瞬間(とき)を告げる旋律のように──……


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