空色幻想曲
口にしてから、これはちょっと反則かも、と自分で思った。
が、口から出してしまったものは仕方ない。まちがっていることはわかっているけれど、どうしてもあきらめきれないのだ。
「ダリウス殿に報告されたいか?」
「そ、それは困る!」
魔王の名を出されてサーッと血の気が引いた。
『告げ口』という反則技でかえしてくるとは、さすがだ。やはり、ほかの騎士とは一味も二味もちがう。
「なら、諦めろ」
「イ・ヤ!」
「……なぜそんなに強くなりたいんだ?」
「話したら稽古つけてくれる!?」
「それとこれとは話が別だ」
「じゃあ言わない!」
「勝手にしろ」
興味なさげにきびすをかえした。長身の彼が大またで歩くと、あっという間に後ろ姿が小さくなってしまう。あわてて小走りで追いかけ、とおせんぼするように両手を広げてまわりこんだ。
「そんな……待ってよ、ねぇっ! 稽古つけてくれたらなんでも一つ言うこと聞くから~、お願い!!」
とびっきり甘えた声で『瞳うるうる攻撃』を仕掛けた。
……平たくいうと泣き落とし。
もう完全に王女の立場を捨てている。ここまでくれば王族のプライドもへったくれもあるものか。
「…………はあ~。仕方ないな……」
「稽古つけてくれるの!?」
あきらめたようにため息をついた彼に、ようやくその気になってくれたのかと喜ぶ私。
けれど思いがけず、一つ、提案した。
が、口から出してしまったものは仕方ない。まちがっていることはわかっているけれど、どうしてもあきらめきれないのだ。
「ダリウス殿に報告されたいか?」
「そ、それは困る!」
魔王の名を出されてサーッと血の気が引いた。
『告げ口』という反則技でかえしてくるとは、さすがだ。やはり、ほかの騎士とは一味も二味もちがう。
「なら、諦めろ」
「イ・ヤ!」
「……なぜそんなに強くなりたいんだ?」
「話したら稽古つけてくれる!?」
「それとこれとは話が別だ」
「じゃあ言わない!」
「勝手にしろ」
興味なさげにきびすをかえした。長身の彼が大またで歩くと、あっという間に後ろ姿が小さくなってしまう。あわてて小走りで追いかけ、とおせんぼするように両手を広げてまわりこんだ。
「そんな……待ってよ、ねぇっ! 稽古つけてくれたらなんでも一つ言うこと聞くから~、お願い!!」
とびっきり甘えた声で『瞳うるうる攻撃』を仕掛けた。
……平たくいうと泣き落とし。
もう完全に王女の立場を捨てている。ここまでくれば王族のプライドもへったくれもあるものか。
「…………はあ~。仕方ないな……」
「稽古つけてくれるの!?」
あきらめたようにため息をついた彼に、ようやくその気になってくれたのかと喜ぶ私。
けれど思いがけず、一つ、提案した。