空色幻想曲
今朝から不良騎士の行方を隊員たちにも訊きまわっていたのに非番だと知る人はいなかった。レガートも「リュート」という名前を聞いてすぐに隊長のことだとわからなかったみたいだし。
──少し、変だ。
「……ねぇ、レガート」
「なんでしょう」
「新しい隊長のことどう思う?」
「どう……と言いますと?」
「ほらっ彼、平民じゃない? 周りが貴族だらけでちゃんとなじめてるのかなぁって」
「まだ一週間ですからね。なんとも言えませんよ」
「まあ……そうよね」
レガートの言うことはもっともなのだけれど……。
クレツェント王国では、平民でも士官学校を卒業すれば騎士になる資格を得られる。その制度は、始まってまだ数十年という新しいものだった。お祖父様が国王のとき、増えつづける魔族の存在を危ぶんで国を護る人材を平民からも集めて育てることにしたのだ。
そして最初の成功例が、英雄カイザー。
優れた剣腕で魔族討伐に貢献し、クレツェント騎士団長にまで登りつめた。華々しい出世ぶりから平民の希望の星となり“クレツェントの英雄”と呼ばれたわけだ。
今では伝説と謳われるカイザーも騎士になりたてのころは貴族の嫉妬がものすごかったらしい。
……ということは。
私の考えを察したのか、レガートは少し視線を上に向けて思いだすように口を開いた。
「僕は騎士に平民も貴族も関係ないとは思いますけど……」
「けど?」
「初めて彼に会ったとき少々意地悪してしまいました」
「い、いじわるぅ? レガートが!?」
目をパチクリさせた。だってレガートに『意地悪』という言葉はどう考えてもミスマッチだから。
──少し、変だ。
「……ねぇ、レガート」
「なんでしょう」
「新しい隊長のことどう思う?」
「どう……と言いますと?」
「ほらっ彼、平民じゃない? 周りが貴族だらけでちゃんとなじめてるのかなぁって」
「まだ一週間ですからね。なんとも言えませんよ」
「まあ……そうよね」
レガートの言うことはもっともなのだけれど……。
クレツェント王国では、平民でも士官学校を卒業すれば騎士になる資格を得られる。その制度は、始まってまだ数十年という新しいものだった。お祖父様が国王のとき、増えつづける魔族の存在を危ぶんで国を護る人材を平民からも集めて育てることにしたのだ。
そして最初の成功例が、英雄カイザー。
優れた剣腕で魔族討伐に貢献し、クレツェント騎士団長にまで登りつめた。華々しい出世ぶりから平民の希望の星となり“クレツェントの英雄”と呼ばれたわけだ。
今では伝説と謳われるカイザーも騎士になりたてのころは貴族の嫉妬がものすごかったらしい。
……ということは。
私の考えを察したのか、レガートは少し視線を上に向けて思いだすように口を開いた。
「僕は騎士に平民も貴族も関係ないとは思いますけど……」
「けど?」
「初めて彼に会ったとき少々意地悪してしまいました」
「い、いじわるぅ? レガートが!?」
目をパチクリさせた。だってレガートに『意地悪』という言葉はどう考えてもミスマッチだから。