空色幻想曲
「この俺に一撃喰らわせてみろ」

「一撃?」

「ああ。勝ったら稽古をつけてやる」

「ホント!? ホンットーに、たった一撃でいいの!?」

「ただし、明日から七日以内にな」

「七日もあれば、じゅうぶんよ! よーしっ、その賭け受けてたつわ!!」

 一も二もなく乗ってきた。

「威勢がいいな。勝てると思うのか?」

「とうぜん! それくらいできなきゃ稽古をつける価値もないってことでしょ」

「そういうことだ」

 強気な彼女に、内心でほくそ笑む。
「勝機がある」と思わせることこそ、俺の作戦だった。

 賭けの内容があまりにも無理難題だと、納得できずにいつまでもせがみ続けるかもしれない。だが、勝機があるもので負けたとなれば諦めざるを得ないだろう。

「私が勝ったらぜったい稽古つけてよね!? 約束よ!」

「ああ」

「甘く見ないほうが身のためよ!」

「……楽しみだ」
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