大陸の彼方
過去の落とし物
サンタルムの町に着いた。アランティウムの城下町に比べたら小規模ではあるが、整備されていて、住みやすさでは負けていないように見える。
「依頼ってな」
「先ずは宿をとってからゆっくりと話しましょうか」
言葉を制するように、詩人は指を差した。
宿の看板が見える。
「…満室みたいだな」
「おやおや。アランティウムは物価が高いとは言え、部屋にはお金をかけるようですね…それとも、」
何か言い掛けて、止める。
「…何だよ」
「まあ、後で後でということで。次行きましょう〜」
結局、町はずれの少し古い建物に部屋を借りた。
「全く、部屋を2つ借りるなんて勿体ない!高くつきますよ」
「今日会ったばかりの、嘘つき吟遊詩人は信用ならないんでね」
それを聞いて、怒るかと思ったが、詩人は楽しそうに笑って見せた。
「それが良い。少しは学んでいただいたようですね」
グレンは、彼をどうも好きになれそうになかった。
「では、私の部屋にどうぞ。大丈夫、取って食いやしませんから」
グレンの部屋と大差ない広さだ。
グレンは椅子に、詩人はベッドに浅く座った。
「さて…改めて、と」
詩人はにっこり笑った。人が良さそうで、知的な顔立ちだ。
「依頼ってな」
「先ずは宿をとってからゆっくりと話しましょうか」
言葉を制するように、詩人は指を差した。
宿の看板が見える。
「…満室みたいだな」
「おやおや。アランティウムは物価が高いとは言え、部屋にはお金をかけるようですね…それとも、」
何か言い掛けて、止める。
「…何だよ」
「まあ、後で後でということで。次行きましょう〜」
結局、町はずれの少し古い建物に部屋を借りた。
「全く、部屋を2つ借りるなんて勿体ない!高くつきますよ」
「今日会ったばかりの、嘘つき吟遊詩人は信用ならないんでね」
それを聞いて、怒るかと思ったが、詩人は楽しそうに笑って見せた。
「それが良い。少しは学んでいただいたようですね」
グレンは、彼をどうも好きになれそうになかった。
「では、私の部屋にどうぞ。大丈夫、取って食いやしませんから」
グレンの部屋と大差ない広さだ。
グレンは椅子に、詩人はベッドに浅く座った。
「さて…改めて、と」
詩人はにっこり笑った。人が良さそうで、知的な顔立ちだ。