大陸の彼方
「…これから、どうするつもりなんだ?この古文書」

「そうですね。中身を解き明かしたいというのが今の気持ちでしょうね」

マーガストは古文書を受け取り、ため息を吐いた。

「とにかく、この古文書を解読できる人を見つけるまでは護衛をお願いしたいのです」

「分かった…ところで、解読できる人の見当はついているのか?」

マーガストは力なく笑った。

「いえ、まだなんですよ」
「…何となく、だけど。見当はつくから、それは任せてくれ」

マーガストが、嬉しそうに笑った。

「翠の風と呼ばれる有名な猛者に会えただけで神に感謝しなくてはならないのに、解読の見当までついてしまうなんて…一気に肩の荷が下りたようですよ」

「その代わり、仕事を依頼されたとは言え俺の用事にも付き合ってもらうからな」

快諾してくれたマーガストと共に、グレンは宿を出た。

「グレンは、ここに来てどれぐらい経つのですか?」

「…四半年くらいか。そんなに長くない」

「あ、剣士様!」
「こんにちは」

「こんにちは」

「四半年で、随分馴染みになっているようですね」

「い、いやそんなことないから」

グレンは、あさっての方を向いて言い放った。照れているのがよく分かる。
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