ご主人サマにはヒミツの執事Romantic X'mas!
30センチほどの雪だるまが完成して、わたしが
「か、可愛いわね…」と感想を述べていると、キサラギが裏ポケットから時計を取り出して時間を確認した。
「お嬢様。そろそろ、夜のパーティの準備の時間です」
「……もう、そんな時間…?」
「はい。さぁ、部屋に戻りましょう。ご主人様方がお帰りになられますよ?」
「……そうね…」
広い庭の、外灯の下にポツンとできた雪だるまを見下ろし、わたしは小さく頷いた。
まだ遊んでいたいのに。
けれどしかたないから、わたしはその雪だるまに背を向けて、部屋に戻ろうと足を踏み出す。
でも、キサラギはどこか他の場所を見つめていた。
それも、睨むような――。
「……キサラギ?どうしたの?」
不思議に思って声をかけると、キサラギはハッとしたようにわたしを見つめた。
「いえ、なんでもありません。では、行きましょうか」
取り繕うように小さく笑みを作ったキサラギに、わたしは首を捻る。
だけどそんなに気にすることでもなさそうだったから、キサラギに連れられて、部屋に戻った。