ご主人サマにはヒミツの執事Romantic X'mas!
そういうこと、その微笑みで言うの、やめてもらえるかしら。
いくらあなたが執事だからって、性別は超えられないんだから。
そこのところ、わかってる?
わたしはキサラギの笑みから目を逸らし、
「……そ、それはよかったわね!せいぜいその目に焼き付けておきなさい!」
……って、やっぱり可愛くないわ。
キサラギはクスクスと笑い、
「そうさせていただきます、お嬢様」
ですって。
…まったく。
この執事は、わたしをなんだと思っているのかしら。
パーティ会場へと向かうわたしの足は重い。
わたしの後ろについて歩いてくるキサラギの足音はいつもと変わらない…気がする。
パーティに行くのが嫌なのは、やっぱりわたしだけかしら。
街のイルミネーションを見てみたいわ。
点灯式の行われた大きなツリーが見てみたいわ。
素敵なドレスを着て作り笑いをするよりも、大好きな人とイブの夜空の下で、一緒に笑いあっていたい。
そう思うのは、わたしだけなの…?