ご主人サマにはヒミツの執事Romantic X'mas!
「さぁ、着きましたよ、お嬢様」
キサラギの声で我に返った。
気がつけばもう会場の大きな扉の前に居て、キサラギが扉のドアノブを握っていた。
開けるの?
躊躇いもなく、開けてしまうの?
中からは、談笑の声やグラスのぶつかる軽快な音が聞こえてくる。
そんなのは聞き飽きてしまったわ。
わたしは街のクリスマスソングのBGMを聞きながら、大好きな人と手を繋いで、歩調を合わせて、歩いていたいの…!
「…っ!開けないで!」
突然のわたしの大声に、キサラギは扉を開けようとしていた手を止めた。
そしてわたしを振り返る。
「…お嬢様…?」
目を丸くするキサラギに、わたしは声を張り上げる。