ご主人サマにはヒミツの執事Romantic X'mas!
「……お、大きな…クリスマスツリーが、見たいわ」
「ツリーですか?ここからだと、少し遠いですね」
「……ダメ、かしら…」
目線を少しだけ下げるわたしに、けれどキサラギは。
「そんなことないですよ?」
そう言って、わたしに手を差し伸べてくる。
「すべてはお嬢様の仰せのままに。
――私はあなただけの執事なのですから」
紳士気取りなセリフを口にして、優しく微笑むキサラギが、イルミネーションの光に照らされて、綺麗。
執事…なんて、あなたは間違っているわ。
なんて、言えないけれど。
わたしはキサラギの大きくて温かい手を取る。
このまま、キサラギとなら、どこへでも行ける。
そんな錯覚がする。
きっと、煌めくイルミネーションのせいね。