ご主人サマにはヒミツの執事Romantic X'mas!
黒ずくめで、誰が誰だかなんてまったくわからない。
そんな男たちを、キサラギは、やけに冷めた目で睨んでいる。
覆面の男が、1人、一歩前に出てきた。
「ソイツをこちらに渡せ、執事。そうすれば、誰も怪我せずに済む。どうだ?」
キサラギは、わたしを離さないまま、答える。
「お断りします」
「ふんっ」と、男が鼻を鳴らす。
「ならば、致し方ない。……力ずくで、奪わせてもらうぜっ!」
男が銃を構える。
キサラギはわたしを見下ろして言う。
「お嬢様、あなたは隠れていてください」
「そんなっ…!キサラギはどうするの!?…っ!まさか…」
続きを言わないわたしに、キサラギはいつもの笑顔を向けてくる。
ニコリ、と。
「大丈夫ですよ、お嬢様。私は――……」
キサラギの視線が、男どもへと向く。
その瞳は、冷たく、鋭い。
「……――あなたを守るためなら、“悪(あく)”にもなります」