ご主人サマにはヒミツの執事Romantic X'mas!
†‥その執事、最強。
わたしから離れ、わたしを庇うようにして立ったキサラギは、
何故か裏ポケットから白い手袋を出して、悠長にそれを手にはめている。
男は当然、怪訝な声を発する。
「なんだ貴様。何をしている?」
キサラギは片方の手袋をはめると、ゆっくりと男に近づき始める。
「何をしてるって、見てわかりませんか?手袋をはめているんですよ」
「何故そんなことをする必要がある?」
「何故って――……」
キサラギは、もう片方の手袋をゆるくはめ、荒々しく歯で挟み引っ張る。
そして言う。
「……――あなたたちを触った手で、お嬢様に触れたくないですから」
口元は、微笑をたたえていたに違いない。
男は、「ハッ」と短く笑ってから、銃の引き金に指をかける。