ご主人サマにはヒミツの執事Romantic X'mas!
「…昼間から、気にはなっていたのです。お嬢様を見る、誰かの視線がある、と」
キサラギの話から、昼間のあのキサラギの不審な行動は、これのことだったのかと理解した。
「すぐにわかりました。お嬢様を人質に取り、すべてを奪おうとしているものの殺気だと。
もう少し気を配るべきでした。……申し訳ありませんでした」
突然の謝罪に、わたしは一瞬驚いて固まった。
でも、すぐに気を取り直し、首を振った。
「謝ることなんてないわ。だって、あなたが守ってくれたから」
優しく言ってみたつもりだけど、顔の上がらない、たまに弱気になるその執事。
わたしは小さく息を吐き、キサラギの顔を覗き込むようにして腰を折った。
「ねぇ、あなたはどうしてあんなに強いの?ビックリしたわ。まさかキサラギに戦闘の能力があるなんて」
「それは…」
徐々に顔を上げ、キサラギはわたしの目を見る。
自分から顔を近づけたことを、ここで悔いた。
……キサラギとの距離が、近い。