ご主人サマにはヒミツの執事Romantic X'mas!
身を引こうとしたわたしを、けれどキサラギの瞳がそれを許してはくれない。
彼は言う。
「…あなたを、守るためです」
澄んだ瞳の色が、すぐそこにある。
混じり気のない、真意の言葉。
吐息がかかり、驚いて身を引いたわたしを、キサラギが笑う。
なんてセリフを吐くのかしら、この執事は。
ドギマギしているわたしの心臓。
でも、キサラギは知らない風な顔で立ち上がり、わたしの隣へと歩いてきて、手を差し出す。
「さぁ、お嬢様。そろそろ時間です。お帰りになられた方が…」
もう、魔法のような時間は、終わりだとあなたは言う。
街のイルミネーションは夢だと言う。
わたしとあなたが、こうして境界線を越えようとしていることを、夢、だと。
「……嫌よ」