ご主人サマにはヒミツの執事Romantic X'mas!
「お嬢様…?」
わたしはむすっとした表情で、口をとがらせて言う。
このまま帰るなんて嫌だ。
わたしはシンデレラじゃない。
12時の鐘が鳴ったら魔法が解ける、なんて、そんなのわたしは知らない。
あなたは王子様でも、わたしの隣に居るじゃない。
声をなくさなくても、手が繋げる距離に居るじゃない。
もっと近くに行ってもいいでしょう?
「わたしはまだ帰りたくはないわ!」
「…ですが、帰らないとご主人様が心配されますよ?それに、あなたは危険な身で…」
「守ってくれるんでしょう?」
「…………っ」
何も返事をしてこないキサラギに、わたしはキッと顔を持ち上げて、向かい合う。
「あなたが…キサラギが守ってくれるんでしょう?だってあなたは、わたしの……執事で、ナイトで
――王子様なんだから」
嗚呼…なんてキザなセリフ。
だけど、キサラギに勝つ言葉を言うには、これくらい言わないとダメなのよ。
わたしばかりドキドキしてるなんて、許せないわ。