ガンバレ、男子!
しばらく、2人とも無言だった。陸は、人ごみを抜けるのに必死だったのかもしれない。
陸の腕は細く見えたが、筋肉質で、力があった。私を抱いていても、危なげない感じだ。
抱っこされるのにも少し慣れてきた私は、陸の顔をじっと観察していた。
男の子なのに、肌がつやつやだなあ。
よく見ると、切れ長の眼はまつげが長くて、くるんと外を向いている。
だから、ちょっと童顔に見えるのかな・・・?
「・・・あの、さ。」
「!」
かすれたような声で、陸が声を出したとき、私はビクリを体を震わせてしまった。
息がかかるほど耳の近くで聞く陸の低い声は、私の全身に鳥肌を立たせるのに十分なくらい、いい声だった。
私の様子に、逆に陸が驚いたらしい。私自身も、自分の反応に驚いていた。
「・・・大丈夫?」
「だ、大丈夫っ!な、なに??何か、話そうとしてなかった?」
私は慌てて言った。