ガンバレ、男子!

ちひろは、慌てている様子だった。慌てた拍子に首に回していた手を離したので、落ちそうになり、今度は急いで首に手を回してきた。

俺はまるで抱きつかれたようになり・・・・ちひろの息が首筋にあたった。

わぁっ・・・。やばい。俺、やばい・・・。

こういうとき、浴衣はジーンズとかより、ずっとやばいのだ。両手は塞がってるし、手を離すわけにもいかない。

落ち着け、俺。落ち着け・・・。

目をつぶって、心を落ち着かせ、深呼吸して、ちひろに答えた。

「・・・うん。じっと、見てたから。何か、俺の顔に、ついてるのかな、と思って、さ・・。」

声は上ずっていなかっただろうか。俺の心臓は、さっきからバクバクいいっ放しだ。ちひろにこの音が聞こえていないかと、心配でならない。

< 102 / 269 >

この作品をシェア

pagetop