ガンバレ、男子!
そんなある日、弥佳がかしこまった様子で近付いて来た。
「ねぇ、ちひろさん。お願いをしに来ました。」
嫌な予感がした。弥佳が、゛ちひろさん゛と呼ぶ時には、大抵、大変なことを頼まれるのだ。
「…なんでしょう」
私は逃げ腰になりながら、それでも一応、聞いた。
「文化祭の季節になりましたね…?」
「…もしや…やっぱり、また?」
「珍しく察しがいいこと。…今年もよろしくお願いします。」
深々と頭を下げた。
「…やだ」
あれをまたやるのは、嫌だ。あの修羅場はもうコリゴリだし、あのあとの騒ぎも大変だ。
「ね、ちひろしかいないのよ…。お願いっ!」