ガンバレ、男子!

そんなある日、弥佳がかしこまった様子で近付いて来た。

「ねぇ、ちひろさん。お願いをしに来ました。」


嫌な予感がした。弥佳が、゛ちひろさん゛と呼ぶ時には、大抵、大変なことを頼まれるのだ。

「…なんでしょう」

私は逃げ腰になりながら、それでも一応、聞いた。

「文化祭の季節になりましたね…?」

「…もしや…やっぱり、また?」

「珍しく察しがいいこと。…今年もよろしくお願いします。」

深々と頭を下げた。

「…やだ」

あれをまたやるのは、嫌だ。あの修羅場はもうコリゴリだし、あのあとの騒ぎも大変だ。

「ね、ちひろしかいないのよ…。お願いっ!」

< 130 / 269 >

この作品をシェア

pagetop