ガンバレ、男子!

「…でね、去年は大変だったんだよ。そしたら昨日弥佳が来てね…」

ここでまた声を潜めた。そして辺りを見回し、俺に向かって手招きした。ちょっと腰をかがめると、ちひろが耳元で囁いた。

「今年もやるって言うの。私は光源氏役らしい…」

わあっ…そんな近くでっ…!

ちひろの息が耳元に当たり、血が一気に頭にのぼった。何気なく屈んじゃったけど、失敗した…。朝からヤバいことになってきた。

ちひろは俺の様子に気が付かず、話し続けている。

あーもう、ホント、勘弁して欲しいなあ…

俺は話続けるちひろを見ながら、そう言う鈍感なところも可愛いんだよなあと、思っていた。

俺、かなり重傷かもな…

< 143 / 269 >

この作品をシェア

pagetop