ガンバレ、男子!
「…でね、去年は大変だったんだよ。そしたら昨日弥佳が来てね…」
ここでまた声を潜めた。そして辺りを見回し、俺に向かって手招きした。ちょっと腰をかがめると、ちひろが耳元で囁いた。
「今年もやるって言うの。私は光源氏役らしい…」
わあっ…そんな近くでっ…!
ちひろの息が耳元に当たり、血が一気に頭にのぼった。何気なく屈んじゃったけど、失敗した…。朝からヤバいことになってきた。
ちひろは俺の様子に気が付かず、話し続けている。
あーもう、ホント、勘弁して欲しいなあ…
俺は話続けるちひろを見ながら、そう言う鈍感なところも可愛いんだよなあと、思っていた。
俺、かなり重傷かもな…