ガンバレ、男子!
「さぁて、用意できたぞー。大河、お腹すいたねっ!」
「おなか、ぺこぺこだぁー」
大河がまんまるなお腹を、ポコポコ叩きながら言った。
それにしても、海も渓も、なかなか帰ってこない。どこまで買いに行ってるんだろう?そろそろ心配になってきたところで、やっと帰ってきた。
「「ただいまぁー」」
「どこまで行ってたの?心配したよー。」
「姉ちゃん、うちの前でこんなの渡されたよ。ちひろさまに渡してください、だってよ。」
海がピンクの封筒を差し出した。
「ん?ありがと。誰からだろう?」
封筒の裏を返すと、“小林愛奈より 愛を込めて”と書いてあった。
「姉ちゃん姉ちゃん、手紙くれたのね、僕たちと同じか、いっこ上くらいの子だったよ。城川の制服着てた。後輩じゃない?」
今度は渓がそう報告してくれる。
「そう、わかった。早く手、洗っておいで。みんなで食べよう」
私は食卓について、手紙を開封した。
「いただきまーす!」
モリモリと食べる3人を横目に、私は手紙を開いた。
ラブレターだった。
こういうラブレターは、毎日のように下駄箱に入っていたり、渡されたりする。
もらうたびにいつも、どう答えていいものか悩んでしまう。付き合ったりは当然できないし、かといって断るのにも体力と気力を使うのだ。
頭を抱える私の横で、悩みがなさそうな男3人が、ものすごい勢いで肉を平らげていた。
「こら、3人とも。肉ばかりじゃなくて野菜も食べなさいよ!」
男の子ってどうしてこんなに食べるんだろう。大河なんて、まだ3歳なのに。体重だって15kgくらいしかないのに、どうやったらこんな量の食べ物が体の中に入って行くんだろう・・・。
どんどん減っていく食料を見ていたら、食べる気も失せて、私はため息をつきながら箸を置いた。