ガンバレ、男子!
「ね、ちいちゃん。初日の見所は?ちいちゃんたちがバスケの試合するのって、初日?」
弥佳の声で我に返った。考え込んでいたらしい。
「え?あ、うん。そう、初日の10時からかな?その日は昼から暇だよ。」
「でもちいちゃん。前夜祭では劇の宣伝しなくちゃだよ?衣裳着て。」
…そんな話、今始めて聞いたよ…。
「…初耳なんだけど」
「あれ、言ってなかったっけ?王子の衣裳で、王子らしく宣伝してね?セリフは考えるから。うーん、何がいいかな…『僕の子猫ちゃんたち、待ってるよ』、で投げキッスとか…うーん、もう少し激しい感じかなあ…」
身振り手振りまでつけて、妄想し始めた。こうなると弥佳は止まらない。
それにしたって、子猫ちゃんたち、はムリ…。
弥佳をみると、自分の世界に入り込んでいて、声を掛けられる雰囲気じゃなかった。
…前夜祭の挨拶は、諦めてやるしかないのかも、ね。
溜め息がでた。