ガンバレ、男子!

その時、そういえば、私の役を羨ましがっていた覚えがある。男役にはなっているけど、あの役いいな、って。その時は、一応主役だからかな、と思っていたけど、もしかしたら、題材が『ローマの休日』だったからかな…?

「優雅なら、『ローマの休日』の王女様の衣裳、似合うと思うよ?」

優雅はもともと美人だ。ちょっと日本人離れした顔立ちだし、ドレスも似合うと思う。

私が急にそんなことを言い出したのが意外だったのか、優雅は、ちょっと驚いた顔をして、でもすぐ恥ずかしそうに下を向いた。

「…ありがと。私ね、オードリー・ヘップバーンて、憧れなのよ…。」

顔を赤くして、小さな声で言った。

はにかんだ優雅って…

「可愛いっ!」

私は思わず優雅に抱き付いてしまった。

「もう、ちひろったら、止めてよ…!」

優雅は逃げようとしたけど、私のほうが力がある。嫌がる優雅に頬擦りをし、「可愛いっ!」を連発してしまった。

そうか、オードリー・ヘップバーンが好きだからかあ!だから、男役とはいえ、私の役が羨ましかったんだ…。

優雅はまだ顔を赤くしている。そんな優雅も可愛くて、私は顔が緩んだままだった。

最近、王子役を演っているせいか、思考回路が男になっちゃってるのかも…?

それはそれで困っちゃうな、と思いながら、まだ顔を赤くしてる優雅の頭をポンポン、と叩き、弥佳が作りかけていた見所表に書き込み始めた。

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