ガンバレ、男子!

「ちひろちゃん!」

買い物に行く途中、突然誰かに背中を叩かれた。

「えっ・・・?」

振り返ると、啓太だった。

「び、びっくりしたぁ・・。久しぶりだね、啓太くん。」

啓太はにっこり笑って、私の横に並んだ。

「そうだねえ。元気にしてた?そうそう、今度文化祭、よろしくね。結局ちひろちゃんたちに案内してもらうことになっちゃって、ごめんねー。」

「ううん!・・・でも、私はほとんど一緒にいられないと思う・・・。結構、いろいろ入っちゃってて。弥佳が案内できるし・・・優雅は展示が終わったら合流できると思うよ。」

そう言うと、啓太は素直に笑顔を見せ、

「やったー。優雅ちゃんにもちょっとは会えるなあ。俺さ、優雅ちゃんのこと、好きなんだよね。もちろん、女の子として、って意味だよ?だから、ちょっとでも会えると嬉しいのさ!」

そんな大事なことを、さらりと言った。

「え・・・。」

私はびっくりして、思わず、啓太をジッと見てしまった。

話を聞いて優雅が好きなことはわかってはいたけど・・・こんなにはっきり、普通の会話の中で、明るく宣言されるとは思わなかった。

啓太は、気負った様子もなく、

「ん?どうしたの?」

と笑顔で私を見ていた。

「啓太くんは、すごいね・・。」

思わずそう言うと、目を丸くして、笑った。

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