ガンバレ、男子!
「ちひろちゃん。どうしたの、溜め息なんかついちゃって。」
啓太が横に並んだ。
「あれ、私、溜め息ついてた?」
「うん。思いっきり。」
「そっか…。あ、こないだはありがとね。剣道見られて、面白かったよ。」
「…でも、俺の勇姿は見ないで帰っちゃったでしょ?折角、陸と試合したのに。」
啓太は、ちょっとむくれて見せた。あの時は、紗耶香さんの話が出たあと、帰っちゃったんだった!
「あ…ご、ごめんっ!そうだよね、ひどいよね。失礼しました!」
私が必死で謝ると、啓太は、わざと悲しそうなふりをして、
「ひどいわ、ちひろさんたら…。」
と、上目遣いで私を見た。
目が、笑っていた。