ガンバレ、男子!

期待


先日偶然会ってから、ちひろのメールから素っ気なさが消えた。俺が送ったメールにも普通に返事が返ってくるし、朝会わない理由もわかった。

あの日、帰りに送っていけなかったし、気になって、夜メールしたのだ。

“無事うちについた?送っていけなくてごめん 陸”

“全然、平気!気にしないで。陸くんも荷物重かったでしょ?助かったよ、ありがとう ちひろ”

“大丈夫!ところで、文化祭の準備は進んでる? 陸”

“練習はキツいよ!あの弥佳がしごくんだから…。毎日朝練だよ。 ちひろ”

“それで朝会わないんだ? 陸”

“そうなの。毎日早くて大変! ちひろ”

そんな普通のメールが嬉しくて、毎日のように俺からメールを送った。

自分からメールするなんて、俺にしてはかなりの進歩だよな?

俺はもともと、メールとか電話とか、嫌いな方なのだ。大抵、鞄の中か机の上に放ってあって、電池が切れてても気付かないくらいだったのだ。

だけど今は、ちひろからの返事が待ち遠しくて、ずっとポケットに入れたままだ。

人間って、結構あっさり変わっちゃうもんなんだな―。

そんなことを考えていたら、尻のあたりがブーブーと震えた。

「わわっ!?」

ベッドにぼんやり寝転がっていた俺は、文字通り飛び上がってしまった。

< 194 / 269 >

この作品をシェア

pagetop