ガンバレ、男子!
帰り道、陸は私を見るたびに、顔を赤くしていた。私は、まだ恥ずかしい格好なのかと思って何度も、「変?」と聞いたけど、陸は、顔を赤らめたまま「いや・・・」と答えた。何度目かに、私は陸の正面に立ち、目を見つめながら聞いた。
「ね、本当に、変じゃない?」
陸は、困ったように、眉を八の字にしながら、答えた。
「・・・変じゃない。」
「じゃあ、目を逸らすのは、どうして・・?」
「・・・いから。」
「え?ごめん、なんて・・・?」
聞こえなかった。
陸は、ふうっと息を吐いて、こう言った。
「可愛いから!・・だぶだぶの俺の服着て・・・。」
陸の瞳はまっすぐ私を見ていた。
「陸、く・・・」
気がつくと、陸の腕の中にいた。
「もう、俺・・・。」
ゾクッ・・・。
絞り出すような陸の声。耳元で響いた。その声に、ビクリと体を震わせた私に、陸はハッとしたらしい。
「ごめん・・。もう、そこ、うちだよね・・。パンフレット、ありがとう。・・・じゃ。」
急いで私の身体を離し、走って行った。
私は、言葉もなくしばらく立ちすくんで、陸の後ろ姿を見送った。心臓だけが、いつまでもドキドキと鳴っていた。
文化祭まであと、3日のことだった。