ガンバレ、男子!
第5章 文化祭
文化祭前日
あれからちひろとは顔を合わせていない。
その日のメールは、セーターありがとう、とか当たり障りのない内容ばかりで、俺の行動については何も触れていなかった。俺も、今日はごめん、としか書けなかった。それに対しての返事は・・・なかった。
ああ、失敗したなあ・・。
あの時のちひろの姿は、俺の理性をふっ飛ばすのに十分なくらい、・・・可愛かった。
ちょっと恥ずかしそうにした様子とか、大きいセーターから伸びた真っ直ぐな足とか、ずり落ちそうになる襟元を気にしてるとことか、いや、とにかく、あまりに可愛くて、頭に血が昇ってしまった。気がついたら・・・・抱き締めてしまっていた。
細くて、柔らかくて、いい匂い・・・。離したくなかった。
俺の腕の中で、ちひろは抵抗しなかった。・・でも、身体をビクリとさせたのだ。
怖がらせたかな・・。
くそう・・。俺、自分の気持ちが止められなくなってるみたいだ。
湧き出るような想いに、自分自身、戸惑っていた。
怖がらせちゃいけない。明日、文化祭でちひろに会ったら、普通に、しなくちゃな・・。
俺はため息をつき、携帯を取り出した。そして、ちひろに、
“明日、頑張って”
とメールを送った。