ガンバレ、男子!
「陸?・・・大丈夫か?ここ何日か、おかしいぞ?」
「ああ・・・。ちょっと寝不足なだけ。さんきゅ。」
一応、大丈夫な振りをしてみたものの、啓太はおおよそ見当がついているんだろう。疑い深そうに俺をみた。が、追求はしなかった。
「ま、元気出せよ。・・・今日はさ、優雅ちゃんに会える日だぞぉ!俺も、嬉しくて、昨日は寝られなかった!」
俺だってちひろに会うのは嬉しい。会いたくてたまらないくらいだ。でも、いざちひろを目の前にすると、自分を抑え切れる自信がないのだ。先日会ったとき、良く分かった。
かと言って、その勢いのまま、告白する勇気も…まだない。
会いたいけど、会うのが怖い。気持ちを伝えたいけど、断られるのが、怖い。
啓太はそんなこと思わないんだろうか…?
こいつだって、俺同様片思いのはずだ。もしかしたら、俺より状況は良くないかもしれない。何しろ、誘い続け、断られ続けてるんだから。
「啓太・・・」
「ん?」
「おまえは、ホント、すごいよ・・・」
「そうか?・・・あれ、それって、ちひろちゃんにも言われたなあ。」
ちひろ…?いつ、話なんかしたんだ?
俺は、ちひろの名前に反応し、聞いた。
「…いつ?」
「…凄むなって。
何の話の時だったかなあ。・・・そうそう、ちひろちゃんと弥佳ちゃんが買い物してた時に、会ったろ?あの時、俺、優雅ちゃんが好き、って言ったんだよ。ちひろちゃんに。そしたら、ちひろちゃん、ビックリした顔して、
『啓太くんはすごいね』
って言ってた。でもさあ、好きなものを好きって言っただけだよ、俺?何がすごいんだかなあ。」
啓太は、明るい口調でそう言った。