ガンバレ、男子!
「ムリですっ!…そんなこと…。」
「そこをなんとか!あなた以上の素材はもう見つからないと思うんです!」
2人はまだ、押し問答しているようだった。
「尚登!」
啓太が声を掛けると、尚登はホッとしたような顔をして、こっちを向いた。
「…あ、啓太…陸。」
「どうした?」
尚登は、チラリとその女の子を見て、こう言った。
「なんでもね、僕に後夜祭に出てくれないかって言うんだ。」
「後夜祭?ああ、あさっての?…いいじゃん、出れば。どうせ来る予定なんだし。」
軽く答えた啓太を、尚登は恨めしそうな目で睨んだ。
「…そんな無責任なこと言って。ただ出るんじゃないんだよ?女装するんだよ?なんか分からないけど、女装してゲームに出るらしいんだ。最後まで男だってバレなければ、勝ちなんだって。」
「「女装…?」」
俺と啓太は、尚登を見、お互い顔を見合わせて、頷いた。
「…バレな…さそうだな…」
啓太が、困ったような、笑いを堪えているような顔で、呟いた。