ガンバレ、男子!

今日の尚登は、そのままでも十分女子に見える。もともと華奢だし、背も160cmギリギリあるかどうかだ。顔だって女の子みたいなのだ。

そこへきて、今日は眼鏡も外し、栗色がかった髪も外に跳ねるようにセットしてある。服は、膝までのパンツ、長Tに白いシャツをラフに重ね、ちょっとゴツめのブーツを合わせていた。

愛奈ちゃんに会えるかもしれないから、気合いいれたかな…?

似合ってる。間違いなく似合ってはいる。けど…。

高校生男子には、見えない。

「ちょっと啓太!僕が女装なんて、できる訳ないじゃないか!」

ちょっと頬を膨らまして怒る尚登は、男にも高校生にも、見えなかった。

自分のことって、自分が一番わからないのかもな…。

半ば感心しながら尚登を眺めていると、

「そこをなんとか!」

それまで黙って俺たちの話を聞いていた、女の子が、再び手を合わせた。

そこへ…

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