ガンバレ、男子!
「…何が言えないって?」
「「わ、ヨシ!」」
ヨシがいつの間にか後ろに立っていた。
「なにそんなに驚いてるんだよ。スマンな、遅れて。」
「や、全然!むしろ遅れたくらいの方が…。」
慌てた俺は言わなくても言いことを口走った。
「え?」
「陸っ!…何でもないよ、ヨシ。さ、行こうか。」
「ああ…。あれ、尚登は?」
オロオロしている俺を横目に見て、啓太がしれっと答えた。
「あ―。なんか、文化祭実行委員の子に連れてかれた。イベントに参加するらしいぞ?」
「イベント?」
「さあな?後夜祭とか言ってたかな。なあ、陸?」
「んあ?…あっ、ああ…。そうそう。」
明らかに挙動不審な俺。確かに啓太は嘘は言っていない。が。尚登と愛奈が一緒にいることが、ヨシにバレたら大変だ。わかっているだけに…余計に焦る。
それにしても、こんな場合にも、慌てず冷静な態度を保てる啓太って…
やっぱりすごいやつだ。
そう思った。