ガンバレ、男子!
ちひろさまの人気
俺たちは、受付でチケットを切ってもらい、校内へ入った。女子校の中へ入るなんて、初めてだ。
「陸、すげーな!こんなに女の子が集まってるの、俺、初めて見たぞ?」
啓太が興奮するのも分かるほど、校内は女子で埋め尽くされていた。黒一色の男子校とは違い、なんだか全体的に華やかな雰囲気だ。
物珍しくてキョロキョロしていると、ひとり涼しい顔で前を向いているヨシが目に入った。
「ヨシ、来たこと、あったりする・・・?」
「ん?…ああ。俺は愛奈の付き添いで何回か来てるからな。文化祭は見学にも来てるから…三回目、かな。」
…どうりで慣れてるはずだ。自分たちの浮かれぶりが、ちょっと恥ずかしい。
「それにしても、陸。バスケ部の試合、始まってるんじゃないか?」
冷静なヨシの言葉で思い出した。校内に入るまでに、予想外に時間がかかったのを、忘れてた。このままでは、ちひろの顔を見ることさえ出来ない。
「わっ、もうこんな時間…?行かなくちゃ、体育館!…って、どっちだ?」
走り出そうとしたものの、体育館の場所が分からない。
「…こっちだ。」
呆れ顔でヨシに言われ、大人しく、ついて行くことにした。俺たちの様子を見て、女の子たちがクスクス笑っているのが見えた。