ガンバレ、男子!
体育館は、敷地の外れにあるようだった。歩いているうちに人もまばらになってきた。
「結構、遠いな?」
「この学園は敷地も広いしな。体育館は一番端にあるんだ。…ああ、あそこだ。」
人がいなくなったと思っていた…のは間違いだったようだ。体育館の周りには、人だかりが出来ていた。…何故か、女子ばかり。そして、嬌声。
近付くにつれ、キャーキャー言う声も大きくなってきた。
「…行ってみよう」
体育館の入口には、中へ入り切れない女の子たちがたくさんいて、俺たちが入れる隙間もない。というか、まず近寄れない・・・。
一体、中で何が起きてるんだ…?
ウロウロしていると、いきなり誰かに腕を掴まれた。
「うわっ…!」
「しぃっ!」
振り返ると、笠原さんだった。
「ちょっと、みんな遅いじゃない!もう試合始まってるよ。普通には入れないから…3人ともこっち来て!」
笠原さんは声を潜めてそう言うと、意外なほど強い力で俺の腕を引っ張り、建物の裏手へ連れて来た。
「ここから入るわよ。」
大きな扉を開けて中へ入ると、運動用具が所狭しと置いてあった。倉庫のようだ。
「…まあ、あなたたちが中で見てると目立ちすぎるから、かえって良かったかもね。何しろ女の子ばっかりだから。ここは、用具置き場なんだけど、体育館の外からも、中からも入れるようになってるの。二階もあって…。とにかく、上がってみる?」
そう言うと、笠原さんは、梯子のような階段を指差した。
「…先に昇って、上で待っててくれる?」
スカートを引っ張りながら言う笠原さんに、俺たちが顔を赤くしてしまった。
「…了解…」