ガンバレ、男子!

倉庫の上は、思ったより高く、体育館の中がよく見渡せた。中は女の子たちの声が反響して、すごい音だった。まるで、コンサート会場だ。

「すげ…。」

壁際には、大勢の観客(女子)が声を張り上げながら試合を見ていた。試合は、バスケ部内の紅白戦のようだ。

ちひろが、試合に出ていた。いつもの柔らかい笑顔とは違う、真剣な顔つきで、ゴール下にいた。髪はポニーテールにし、白組なのか、頭に白い鉢巻きを巻いていた。・・・男の俺が言うのもなんだけど、颯爽としていてカッコ良かった。

その時、ちひろにボールが回った。

その途端、会場内の嬌声が10倍に膨れ上がった。

「ちひろさまあっ!」

「頑張ってぇ!」

観客全員がちひろを応援しているみたいだった。中には、泣いている子もいるようだ。

俺は、あまりの状況に、声も出なかった。ちひろが城川で人気があるとか、王子役だとか、話には聞いていたけど、実際目の当たりにすると、想像を超えたすごさだ。

愛奈ちゃんが特別だったわけじゃないんだ…。

ヨシや啓太を見ると、2人ともアングリと口を開けている。

さすがの啓太も、これにはビックリ、か。

ちひろがシュートした。嬌声は一層大きくなり、無事ゴールが入ったときには、耳が痛くなるほどの声が体育館内に響いた。
< 221 / 269 >

この作品をシェア

pagetop