ガンバレ、男子!
しばらく呆然と立ち尽くしていたらしい。
「すごいでしょう?」
話しかけられて初めて、俺の横に笠原さんが並んで立っていたことに、気がついた。
「普通、カッコいいからって、ここまでモテないよね?さらに不思議なことに、そのことで疎まれたりもしないんだよね…。これって、ちいちゃんだからだと思うんだ。」
確かに、ちひろには、不思議な魅力がある、と思う。それは、容姿が良いとか、そう言うレベルではなく、もっと内面的なものだ。
男でもそうだが、モテるやつは、その分疎まれたりすることも多い。だが、たまにいるのだ。何故か、皆に好かれちゃう奴。そういう奴は、人を惹きつける何かを持っているのだと思う。
ちひろも、そうだ。人の目を、いや、…俺の目をも、こんなに惹きつけてやまないのだから…。
「…そう、だね。俺も、そういうとこに、惚れたのかもな…。」
ちひろがバスケをする姿を見ながら、無意識にそんな言葉が出ていた。
黙ってしまった笠原さんをふと見ると、目を丸くして俺のことを見ていた。
その顔を見て、自分の爆弾発言にやっと気がついた。
「や…、そのっ。ええと…まあ、そう…。」
あたふたと挙動不審な俺に、笠原さんは、何故か辛そうな表情を一瞬浮かべた。が、すぐにいつもの悪戯っぽい笑顔になり、言った。
「…否定はしないんだ?」
「いや、まあ、うん…本心だし。」
観念した俺は、正直に答えた。
「…それ、ちいちゃんに直接言えるといいね?」
「…さんきゅ。」