ガンバレ、男子!
陸の決心
「いやあ、ホントすごかったなあ!」
啓太が、焼きそばを頬張りながら言った。
試合が終わったあと、体育館裏からこっそり出た俺たちは、そのまま食堂へ向かった。笠原さんは、ちひろと話があると言って、その場に残った。俺たちは、その間、腹拵えをしながら待っている、というところだ。
「ああ、うちの愛奈だけじゃなかったんだ、と思ったよ。」
ヨシも同じことを思ったらしい。
確かに、あの人気はすごいよなあ…。
俺は、あの時の笠原さんの言葉が忘れられずにいた。
皆の王子様を奪う覚悟はあるのかと、問い質されたことだ。
あの人気っぷりには正直驚いたけど、覚悟は、ある。
恨まれようが、憎まれようが、ちひろと付き合えるのなら、別に構わない。俺が自分の気持ちを伝え切れずにいるのは、ちひろを好きな気持ちや、そういう意味での覚悟が足りないからではない。
…拒まれるのが怖いという、情けない理由なのだ。
いつかは伝えたい。
゛いつか゛って、いつだ…?
今じゃいけない理由は、ないはずだ。でも…。
問題は、俺の勇気、だな…。