ガンバレ、男子!
第2章 恋の、第一歩
ちひろの悩み
「やったーっ!終わったああー!」
やっとテストが終わって、早速今日から部活が再開する。
試験前から2週間も体を動かしていなかったから、部活に行きたくてウズウズする!
「ちいちゃん、今日からもう部活?」
弥佳が座ってる私の後ろから、首に抱きついた。
「んー?そうだよー。早く体を動かしたいっ!」
「・・・ねぇ、ラブレターの返事、どうするの?」
抱きついたまま、耳元に顔を寄せ、弥佳が囁いた。
廊下から
「きゃぁ、ちひろさまと笠原さんよ・・・」
なんて声が聞こえる。
「ぅわっ・・・ちょっと、耳元で囁かないでよっ!・・・付き合ったりはできないよ、申し訳ないけど。でも、どうやって切り出すかな・・・」
「・・・私が言っておいてあげようか?」
「うーん、いい。そういうのは自分でやるよ。あの子にも失礼だしね。でも、ありがと。」
「ふふっ。そういうとこが格好いいのよね、ちぃちゃんは。じゃ、私は帰るね。」
「あれ、部活は?」
「うん。うちらは文化祭前にならないと本気にならないから。」
「・・・ああ、そうだったね・・・。本気、っていうか・・・文化祭前は修羅場だったよね・・・」
「そ。短期決戦だから。ちぃちゃん、今年もよろしくねっ」
「え・・・今年も・・・?」
呆然とする私を置いて、弥佳はウィンクして去っていってしまった。
今年も?
勘弁してほしいなあ・・。
去年の文化祭のあと、正確に言うと、あれのあと、急にラブレターの数が増えたんだよね。でも、あれを、また今年もやるのか・・。
・・・なんて呆けている暇はなかった。
バスケ部のエース、とは言っても、まだ高1。先輩たちよりも早く部室へ行って、部室の掃除と、道具の用意をしなくてはならない。
時計を見て、私は慌てて部室へ走った。