ガンバレ、男子!


でも、観るだけの価値はある劇だと思った。

始まる前までは、正直、そんなにすごいとは思っていなかったのだ。

ちひろは、頼まれて役を演っているというし、少し前は人が足りないくらいだったと聞いていたから、せいぜい普通の高校生の劇だろう、くらいにしか思っていなかった。

でも。

本当に高校生かと疑うくらい、かなりレベルが高い。素人の俺でもそう感じるんだから、相当なもんだろう。

笠原さんが書いているという脚本にしろ、みんなの演技にしろ、プロ級だ。

ちひろを見に来ただけのつもりの俺も、いつしか劇に引き込まれ、登場人物たちに感情移入していた。

最後、感動のシーンでは、会場中スタンディングオベーションで、割れるような拍手が沸き起こった。

カーテンコールで出てきたちひろたちは、達成感からか紅潮した頬をし、キラキラと輝く瞳で観客を見渡していた。ちひろの視線の先では、キャーッという歓声が起こり、女の子たちが興奮している様子だ。

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