ガンバレ、男子!
すごい・・・。
ちひろ、君は、すごい。
ここまでの劇に仕上げるために、どれだけの練習を積んだんだろう。劇だけじゃない。バスケ部でだってエースのはずだ。それには、相当の努力が要求されることは容易に想像できる。
何に対しても、まっすぐ全力投球なんだろう。それが周りの人に元気を与えてくれる。自分も頑張ろう、という気にさせてくれる。
それが、ちひろの求心力の理由なんだと思った。
俺、大変な子に惚れちゃったんだな・・・。
「ひかる王子!カッコいいぞ!」
会場が揺れるほどの歓声の中、俺は、ちひろに届くように声を張り上げた。女の子たちの声が多い中、低い男の声は目立ったのだろう。ハッとした顔でちひろがこちらを向いた。
目が合った。
たぶん、時間にして3秒くらいだったんだろうと思う。でも・・・・長い一瞬だった。
そして、満面の笑みを浮かべて、投げキッスをくれた・・・!
キャーッという女子の声。
「ちひろさまあっ!」
次の瞬間には、凛とした王子の顔つきになり、別の方へ向いて手を振り、そっちにも投げキッスを振舞っていた。
最初のは、俺、に・・・・?
ニヤついた顔を隠すため、俺は急いで帰り支度を始めた。