ガンバレ、男子!
驚いた顔をした、ちひろが立っていた。
「なあんだ!ちひろかあ…。ビックリした…。」
芳川さんがホッとした顔で言うと、
「こっちこそビックリしたよ~!どうしたの?」
ちひろがみんなを見回して言った。
ここで休憩しようとしていることを伝えると、
「ここ、今日は、演劇部の控え室だよ?さっきまでみんな着替えてたんだよ。
…でも、もう多分、弥佳以外はこないと思う。後夜祭までは、私の控え室みたいなもんだから。いてもらって、全然OK!」
そう言って親指を立てた。
ちひろはまだ王子の格好をしていた。
後夜祭で出番があるから、着替えられないのだと言う。でもさすがに舞台メイクのままではキツいので、落として来たところのようだ。
「また、軽くメイクしなくちゃいけないんだけどね。」
そう言いながら、洗い立ての顔をピカピカさせながら、ちひろは舌を出した。