ガンバレ、男子!
そのあと、しばらく沈黙が続いた。でも不思議と気まずい気持ちはなかった。むしろ、心地良いくらいだ。
それにしても…
ちひろの全てが、こんなにも俺をドキドキさせてやまない。
暗い廊下に二人きり。心地良い沈黙。この状況が続いたら…自分の理性に自信が持てない。
何か言わないと。
・・・それこそ何をしてしまうか分からない。
「えと…それにしても、劇、本当にすごかったよ。」
「もお!恥ずかしいってば!」
「ホントに!脚本も良かったし。…人妻への愛の言葉なんてさ…」
わざとニヤリとしてちひろをみると、真っ赤な顔をして俺を叩いてきた。
「ちょっと、陸くん!あれは言う方だって恥ずかしいんだからねっ?」
「いてっ!…結構力あるなあ!
でも、攫って欲しいといわれて、本当に攫っちゃうなんてさ・・・色男・・・
わっ!冗談だって!参ったって!」
バシバシと腕を叩くちひろの手を避けたり、ふざけ合いながら歩いていたら、あっという間に自販機に着いてしまった。