ガンバレ、男子!


確かに自販機周りはちょっと暗かった。首をすくめてあたりを見回しているちひろに、

「怖い?」

と聞いてみると、

「・・そう、でもない。思ったより暗く感じない。陸くんと一緒だし、怖くないや。」

そんなことを言って、俺を喜ばせた。見てわかるくらい、明らかにやせ我慢なのに。

「陸くんは、何飲む?」

「俺?うーん。水にしとくかな。ちいちゃんは?」

「私は・・・ウーロン茶。」

「あと・・啓太くんは、何が好きかなあ?」

ちひろが買い、俺が受け取る。俺の手はペットボトルでいっぱいになってきた。

あと一本、というところだった。

「・・陸くんは、好きな人ができたら、それが人妻でも攫っちゃいたいって思う?」

ちひろがいきなりこんなことを聞いてきた。

「へ??なんで・・・ああ。男の心理として?」

「うん。セリフを言っていて、本当にそう思うのかなあって思って。」

「そうだなあ・・・。人妻を好きになったことがないからわからないけど・・・本当に好きなら、そう思うだろうな。」

「そうかあ・・。」

「でも、それでその人が不幸せになるなら、やらない、かな。好きな人には、何より、幸せになってもらいたいから。

・・・女の子のほうはどうなの?好きな人には、攫って欲しいもんなの?」

「・・・・うん。本当に好きな人なら、ね。

あーあ。私のことも、誰か素敵な王子様が攫ってくれないかなー。」

そう言いながら、ふふっと笑った。

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