ガンバレ、男子!


舞台上へ、ちひろが出てきた。

王子の格好をし、ゆっくりと大股で歩いてくる姿は、まさしく王子だった。観客へ手を振り、優雅にお辞儀をしてみせるちひろは、出場者の男性陣を完全に食っていた。

「・・ちひろちゃん、完全、王子モード、だな?」

感心したように啓太も呟いた。

ちひろが舞台の隅で見守る中ゲームは進み、予想通り、尚登が優勝した。

歓声の中、尚登は恥ずかしそうに頬を染め、観客に手を振って挨拶をしていた。

「あいつ・・・やりすぎだろう。」

俺が言うと、

「ま、勝てば何か貰える条件なのかもよ?・・・愛奈ちゃんとのデートとか。」

俺にだけ聞こえる声で啓太が囁いた。

それなら、あり得る。愛奈ちゃんとデートできるためなら、尚登は何でもやるだろう。たとえそれが、犬の真似とかだったとしても。

舞台上で完全に女になっている尚登を見ながら、俺は思った。

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