ガンバレ、男子!
「元気になったみたいね?」
その子(名前、なんだっけ・・・)は、ちひろにそう話しかけていた。
確かにここ数日、朝見かけても元気がないことが多かった。溜息をついたり、考え込んだりしていたのを、俺も見た。どうしたんだろうと、実は心配していた。
「ありがと、ゆま、大好き!」
ああ、ゆま、っていうんだっけ…。どういう字を書くのかな…?
そう言うなり、ちひろはその友達に抱きついていた。
俺は、見ちゃいけないものを見たような気がして、慌てて視線を逸らした。
ドキドキドキドキドキ・・・・
自分の心臓が耳元にあるみたいだ。
別に俺が抱き付かれたわけでも無いのに、俺の心臓は跳ね上がったまま降りてこない。
ああ、レズ疑惑もあったんだっけな・・・。
子供とか彼氏とか、分かんないことばっかりで嫌になっちゃうよなあ。
この悶々とした状況を何とかしたいけど、どうすればいいか見当つかねーっ。
放っておくと、あいつらが何かしでかしそうだしなあ・・・。
「お祭り?ああ!・・・」
ちひろの弾んだ声で、ネガティブな思考から引き戻された。
お祭り?
そうか、確か来週末地元の神社の夏祭りがあるはずだ。このあたりでは、結構大きなお祭りで、ちょっとだけど花火も上がる。
あのお祭り、行くんだ。
あり得ないけど、ちょっと想像(妄想?)してしまった。一緒にお祭りに行くこと。浴衣、とか。
ああ、考えただけでダメだ、鼻血でそう・・・。俺って、なんて・・・情けない。
好きだと自覚したのはいいけど、こんな調子で、いつか、告白、とかできるんだろうか?