ガンバレ、男子!
口下手なヨシが話したところをまとめると、こんな感じだ。
その日の休み時間、啓太が2人を集めたようだ。
「陸のことだけど…」
「うん。ちょっとからかいすぎたよね…僕たち」
尚登も反省した様子で、今朝のことをヨシに説明した。
「最近あんまり陸が乙女だからって、やりすぎちまったな…」
「でも僕、あんな可愛い陸って初めてみたよ…。怒ったのも初めてだけどさ。それより、可愛いって言うか・・・。
カッコいいわりに、いじられキャラだとは思ってたけど、でもこんなに壊れちゃうなんて…。
いつもはさ、何でも軽くこなすじゃない?勉強でも運動でも何でも。」
「まあな、あいつは昔から何でも出来たからな…。
俺はコンプレックス刺激されまくりだったよ。ツラもいいし、背も高いし、性格も穏やかで滅多に怒らないし。」
「…その陸が怒ったんだな?」
「うん。今日一日口もきいてくれないよ。こんなこと、初めてだよ」
「…多分、陸もどうしていいか分からないのもあるんだろうなあ。あいつは、恋愛方面にはものすごい奥手だし、純なんだよ。免疫もないしな…。」
「カッコいいからモテそうなのにねえ」
「兄弟も男だけだし、中学から男子校だろ?剣道バカだしさ、ホント免疫ないんだよ。うちの姉ちゃんにだってからかわれまくり。」
「どうにかしてあげたいねえ」
「俺たちが背中を押してやらないと、いつまでもこのまんまの気がするよな…。
昔もさ、五歳頃かな…陸が保育園の先生を好きになって…。その時も、先生に一言も話しかけられなかったなあ…。真っ赤になっちゃってさ。
その時から変わってないんだ、きっと。自分のこと好きな子に対しては、鈍だしね・・・。」
「…まあとにかく、陸の機嫌を直すのが先だな」
ヨシがそう言うと、啓太と尚登はヨシをすがるような目で見て手を合わせたらしい。
「「誉志幸様…!」」
「…分かった…俺が話してみる…」