ガンバレ、男子!

「・・・で、話って何ですか?」


愛奈ちゃんは、ポッキーをくわえながら俺たちの顔を見回した。


「愛奈の学校に、春日ちひろって先輩がいるだろ?その人の話を聞きたいんだ。」


ヨシは、俺のほうをチラリと見ながら、そう言った。
愛奈ちゃんは、いきなり顔を輝かせて、


「ちひろさまのこと?何でも聞いて!ファンクラブ入ってるくらいなんだから!・・・ええとね、名前は春日、春夏の春に、日曜日の日、ちひろはひらがなだよ。1年B組、出席番号12番。背は174.8cm、体重は推定47kg、スリーサイズは・・・」


・・・こんな感じで延々と“ちひろさま情報”を教えてくれた。話が終ったとき、俺たちはみんな、ファンクラブに入れるくらい、ちひろ通になっていたほどだ。


「・・・じゃあ、“ちひろさま”は、弟が3人いて、中学1年の双子の弟で海くんと渓くん、3歳の大河くん、なんだな?もちろん、結婚していたり、子供がいたりは、しないんだな?」


「きゃあああああっ!やめてよ、お兄ちゃん、ちひろさまが結婚とか子供とか、ありえなーい!」


叫びながらブンブンと頭を振った。


「わ、わかった。で、カッコ良くて、優しい、と。お前がちひろさまを好きなのも、よく、わかった。」


「愛奈ね、ちひろさまに好きになってほしいとか、そう言うんじゃないの。ただ、素敵なお姿を見ていたいだけっていうか・・・。」


うっとりとした目つきで、愛奈ちゃんは宙を見つめた。


「あれ、でもお兄ちゃん達は、どうしてちひろさまのことを知ってるの?」

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