ガンバレ、男子!
2度目の会話
私は、優雅のお陰ですっかり立ち直っていた。胸の奥がチクリと痛まない訳じゃないけど、これでいいんだ、って思えるようになっていた。
「ちひろさまぁ~!」
振り向くと、愛奈が走ってくるところだった。
「愛奈ちゃん…」
先日手紙をもらってから、返事をしていなかった。手紙を受け取ったことは伝えたけど、ちゃんと返事をしていないことを、実は気にしていたのだ。
「はぁ…はぁ…。ち、ちひろさまってば、歩くの早いですね…。追いつくの、大変でした。」
「愛奈ちゃん、あのね…」
「あのっ!今日は、ちょっと質問があってきました!」
私の言葉を遮るように、愛奈は声を張り上げた。
「…質問?」
「はい!…実は、ちひろさまが週末の夏祭りにいらっしゃるんじゃないかって噂があって…。」
「行くわよ。私たちと。ね、ちひろ?」
「芳川様!」
どこから現れたのか、優雅が愛奈の背中をポンと叩いて言った。